市民のみなさまへ

●金環日食の観察には目の安全に充分注意してください
(日食網膜症、日光網膜症について)


平成24年5月21日は金環日食の日です。
今回の日食はほぼ日本全国で見ることが出来、東京では1300年ぶりとのことで、日本においては一大天体イベントとして盛り上がっています。その日食観測時につきものと言われる日食網膜症も少なくとも数万人に及ぶ可能性があるという懸念から日本医師会、日本眼科学会などの団体から正しい観察方法の啓もう活動が活発に行われています。
太陽光を直接見ると眼が障害を受けることは古くから知られており、かの有名なガリレオも自作望遠鏡で障害を受けたとの記載もあります。こうした太陽光により眼に障害を受けることを日食網膜症、日光網膜症と言います。
眼球によって集光された太陽光が眼底の網膜(フィルム)の中心を傷つけることで起きるものです。太陽光には見えている光(可視光線)のほかに、目に見えない赤外線や紫外線が含まれています。その中でも波長の短い光(400nm~500nm)は網膜の色素上皮細胞のメラニン色素に吸収され光化学反応がおきて視細胞を障害します。かつては赤外線による熱作用により網膜内の温度が上昇し、たんぱく質が変性するという熱障害説が唱えられていましたが、近年は短波長による光化学障害説が有力な原因と言われています。日食を観察した直後から中心暗点(中心に黒い影がみえる)、変視(中心が歪んで見える)、霧視(かすんで見える)視力低下などの症状が出れば、この日食網膜症です。これらの症状を自覚したらすぐ眼科に受診して下さい。障害の程度は「暴露量率×暴露時間」で決まります。
つまり「短時間に強い光をみる」また「長時間かけて弱い光を見つづける」、いずれのケースでも同じように障害をおこすことになります。このトータル量によって、症状も様々で、数時間~数日で軽快するものもあれば一生後遺症に悩む場合もあります。日食観測には以上のことを踏まえ慎重に行ってください。普通のサングラスや色つき下敷き、カラープラスチック板などではけして太陽を見ないでください。網膜にとって悪い波長(紫外線など)をカットした日食観察専用のサングラスやフィルターを用いて観察して下さい。無用に長時間の観察もしないでください。観察方法は以下の文章を参考にして下さい。

日本眼科学会のホームページはこちら
http://www.nichigan.or.jp/sun/index.jsp